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最新のアドフラウド動向とやり方について

アドフラウドとは

アドフラウドとは、直訳すると、広告詐欺という意味です。デジタル広告で起きている不正広告のことで、広告費を不正に搾取される仕組みを指しています。このような行為は、広告主が広告費を支払ったにもかかわらず、求めていた広告成果を得られない結果になってしまいます。近年、このアドフラウドは巧妙化してきており、プログラムで組まれた自動botが不正にインプレッションやクリックを水増ししたり、購入や広告効果の指標にしている成果地点のイベントを偽装し、コンバージョンを意図的に発生させるケースが増えています。何も成果が出ていないのに、広告費を奪い取ろうとする行為でいかに悪質かが分かると思います。

このような行為は、社会問題として捉えて、排除していく必要があると思いますし、悪意のある業者にお金が入ってしまうことで、犯罪の助長になるのではないかと考えています。

広告業界全体の不正広告

デジタル広告が伸びる一方で不正広告が増えています

全世界のデジタル広告費用は、およそ60兆円と言われています。電通が世界の広告費成長率予測を出していますが、

https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/000197.html

2021年も、引き続き、アジアパシフィックやラテンアメリカ等が牽引し、3%超の成長率の見通しと見られています。デジタル広告費の成長率は2019年に11.2%となり、世界の総広告費に占める構成比は4割超えになりました。そして、2020年にも10.5%の成長を予測しており、その結果、デジタル広告費の構成比は45.7%となる見通しです。2021年には、48.3%と構成比で5割に迫る勢いです。

一方で、アドフラウドと言われる不正広告も目立ってきています。およそ60兆円の広告費用のうち、4.2兆円に近い費用が不正広告の被害を受けています。

https://fraudscore.ai/blog/ad-fraud-report-global-statistics

fraudscoreによれば、iOS/Androidアプリで検知された不正広告は 2018年から51%増加したそうです。デジタル広告の加速に伴って、こういった不正広告が増えていることも、近年問題視されています。

不正広告に対する世界の動き

このような状況を受けて、世界的な大手企業も積極的な不正対策に乗り出し始めました。Uberは、100を超えるアドネットワークに対して、50億円近い被害を受けたと告訴しています。FacebookはILikeAdという企業を広告不正のため提訴、そして彼らによって被害を受けたユーザーに対して、4億円以上の補填しました。さらに、Googleは2019年中に不正なアプリをGooglePlayから公式に削除し、そのうちのいくつかは1,000万件以上ダウンロードされていたことが発表されています。

今年に入ってもなお、コロナ禍においても広告不正の件数は増加の一途を辿っています。
ニュースを見ていると、閲覧するとコンピューターウイルスに感染する悪質広告が50倍に急増、ドイツでは偽の給付金サイトを通じ、100億円以上の詐欺被害が出たなどのニュースも出ています。

そのような状況下で、日本国内においては、2020年6月にネット広告健全化推進プロジェクトが発足しました。参画企業は、Integral Ad Science Japan株式会社、株式会社Spider Labs、DoubleVerify Japan株式会社、日本オラクル株式会社(Oracle Data Cloud)モメンタム株式会社の5社だそうです。

直近のアドフラウド傾向

SDKスプーフィング(イベント偽装)が多い

直近では、アプリにおいて、SDKスプーフィング(イベント偽装)が引き続き発生しています。SDKスプーフィングとは、アプリ起動後、チュートリアル完了が成果地点だった場合、イベントを偽装し、チュートリアル到達時点の成果リクエストを送信して、成果とみなす行為を指します。このようなイベント擬装については、統計データを見ることで偽装されていたことが判明しています。通常では、4〜5分かかるのが傾向のところを、インストール後1分以内の成果であがっており、異常値が多く検知されているのです。
こういった通常であればユーザーが到達できない時間帯にイベントの通信が発生していることは、SDKの違法な改ざんによる不正が発生している可能性が極めて高いと考えられています。

アクセス元の偽装も多く発生してます

引き続き、OS/ブラウザ/デバイスを偽装した不正な成果獲得も多く行なわれています。このようなケースだと、統計レポートを分析すると、不正発生時はOS/ブラウザ/デバイスに異常な分布が見られがちなので、不正が行なわれていることをすぐに発見できます。ただ、年々巧妙化しており、発見しにくくなり始めている傾向も出ています。